こんにちは、モジャ先生です。
球春到来!センバツ2日目です。今日は高カードが目白押し。その中でも第二試合の近江vs長崎日大が手に汗握る死闘になりました。
京都国際の出場辞退により急遽出場した近江。戦前からその戦いに注目が集まっていました。対するは九州4強の長崎日大。延長タイブレークまでもつれる熱戦となりました。
近江 000 000 002 000 4 |6
長崎日大 000 002 000 000 0 |2 (延長13回タイブレーク)
すべての高校野球ファンに向けて、注目選手と見応えのある場面、注目したプレーを高校野球監督の視点から紹介していきます。
この記事では、次のような疑問にお答えします。
- なぜ近江高校がセンバツ出場することになったのか知りたい
- 近江vs長崎日大の試合の詳細を知りたい
- 終盤の攻防のポイントとなった「継投」について知りたい
この記事により、高校野球の魅力が少しでも伝わればと思います。では、行きます!
「突然の春」近江高校センバツ出場の経緯
近江高校はもともと、今春のセンバツ出場校ではなかった。昨秋の近畿大会で準々決勝で敗れ、近畿大会ベスト8。
近畿は大阪桐蔭が昨秋の神宮大会を制したため1枠増え、7校がセンバツに出場。大阪桐蔭、和歌山東、天理、金光大阪は順当に選出。8強の京都国際、市和歌山、東洋大姫路、近江が当落線上となっていた。
1月28日の選考会議で、近江は落選。近畿8強の中で唯一出場が叶わなかった。
しかし、センバツ開幕を明日に控えた3月17日、状況は一変する。
同じ近畿地区から選ばれた京都国際が、新型コロナウイルスのPCR検査で十三人の陽性が確認され、出場を辞退したのだ。
京都国際は近畿ベスト4ながら、今大会優勝候補の筆頭。左腕森下と右腕平野など、昨夏ベスト4の主力が多く残るチームだった。
京都国際の出場辞退を受け、同じ地区の補欠校が京都国際の代わりに出場することとなった。それが近江。すでに抽選も終わっており、京都国際が出るはずだった2日目第二試合にそのまま出場することとなった。
京都国際の出場辞退は世間に衝撃を与えるとともに、いわば「突然の春」の舞台に立つ近江高校に注目が集まった。
夏ベスト4立役者、山田陽翔
「突然の春」となった近江高校であるが、昨夏甲子園ベスト4の実力を持つ強豪校である。今回も選抜されれば戦力的には上位候補と見られていた。
その一番の要因は、エース山田陽翔の存在である。下級生ながら主に4番投手として昨夏の甲子園ベスト4にチームを導いた。
中学時代から、世代ナンバーワンの力を持つ選手で、評判も高かった。高校野球ドットコムでも、大々的に取り上げられていた。
昨夏の甲子園後は故障もあり、昨秋の公式戦での登板はない。つまり、公式戦での登板は、昨夏の準決勝、智弁和歌山戦以来となる。
もう一度甲子園に戻ってきた山田への期待と、故障明けの不安が入り混じった中での登板となった。
近江の粘りと長崎日大の継投
試合は長崎日大のエース種村と近江の山田の投げ合いとなる。先制は長崎日大。0−0の6回裏二死二塁、四番河村の打席。
近江は外野を極端に前進させるシフト。単打による1点を防ぐ勝負に出る。結果、河村の打球はレフトの頭上を越えるタイムリー二塁打。1−0。さらに5番白川にも同様のシフトの頭上を越され、2−0。
極端な外野前進守備を敷いて、1点を守ろうとした近江。定位置なら取れた打球であり、結果は凶と出た。
しかし、チームとしての意志がチーム全体に浸透しているように感じた。
「リスクを取って一点を防ぎに行ったんだから、上を越されるのはしょうがない」
という考えが、チームに浸透していると感じられる場面だった。
一方の長崎日大の種村は圧巻の投球。8回まで無失点に抑える。しかし9回、近江は100球を超えた種村に襲いかかる。無死一、二塁から岡崎のライト前タイムリーで一点差。なお無死一、三塁。
ここで長崎日大は120球を超えた種村を諦め、左腕の川副に継投。一点差の無死一、三塁。シビれる場面での登板となった。
長崎日大は継投での戦いを想定していたという。しかし、投手戦の展開が継投のタイミングを難しくさせた。結果、種村を120球まで引っ張らざるを得ず、終盤の山場を演出してしまった。
継投も結果論ではあるが、好投している投手の替え時は、初めから想定していないと難しい。勝ちきれなかった分、長崎日大の継投は後手に回ったと言わざるを得ない。
六番川元のレフトフライで三塁走者山田がタッチアップ。しかし、長崎日大のレフト平尾の好返球によりアウト。二死二塁となり、近江にとっては、まさに万事休す。
それでも近江は諦めない。四球をはさみ二死一、二塁から8番大橋の同点タイムリーで追いつく。あと一球からの同点劇。この粘りは脅威的。
タイブレーク
チャンスは作るも延長戦では決着がつかず、タイブレークに突入。
延長13回は無死一、二塁からのスタート。先攻近江は4番山田のレフトへのタイムリーで勝ち越し。3−2。
さらに長崎日大の川副がバント処理を誤り4−2。さらに二、三塁から二つのバッテリーミスで6−2。
タイブレークは後攻チームの場合、3点目を取られると精神的なダメージが大きい。2点まで、つまりもともといる走者が生還するまでなら、追いつける希望を持てる。
その裏、長崎日大は得点を奪えず6−2で試合終了。3時間4分の激闘は近江が制した。
京都国際の分まで
近江の多賀監督の試合後の会見が印象的だった。「京都国際の分まで」と、一言一言紡ぐように言った言葉は心からの思いであることが伝わる。
京都国際の監督から「突然のことで、申し訳ない」という電話が入り、「自分にはできない」と素直に認め、思いを受け止めた多賀監督。どちらの監督もさすがに超一流。
「京都国際の分まで」近江旋風は、まだ始まったばかり。
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